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主催事業情報 2025/4/20 「カイハツ」プロジェクト 2025年度活動報告

カイハツロゴ画像

 

カイハツ(ロゴ画像)」とは?

KAATが長塚芸術監督のもと、2021年度より取り組んでいる、新たなプロジェクトです。           
劇場が常に考える場、豊かな発想を生み出す場となることを目指し、クリエーションのアイディアをカイハツしていきます。新たな表現の実験、ジャンルを横断したアーティストの交流、様々な情報の収集など、以下のようなカイハツ活動を軸にして、劇場の創造活動の核を育てていくことを目指します。

◆企画・人材カイハツ

アーティストがその構想を試み、新たな出会いをもつ場として、上演を最終目的としない自由かつ実験的なクリエーション活動を行うことができる機会と空間を設けます。アーティストにとってはアイディアの種を試し育てる機会となり、劇場にとっては、新しい才能と出会うきっかけとなります。

◆戯曲カイハツ

国内外の戯曲発掘および情報収集、海外戯曲の翻訳等を行い、時にリーディング試演を交えながら、作品への理解・戯曲へのリテラシーを深め、豊かな発想の土壌を育んでいきます。

◆創作プロセスカイハツ

じっくり時間をかけて作品をクリエーションしていく新しい創造形態を模索します。戯曲・楽曲製作、ワークショップ、トライアウト公演などを実施。稽古場と上演会場を持つ劇場の強みを生かし、数年間かけて作品を熟成させる創作過程を充実させ、豊かな成果を生み出します。

 

 

2025年度 実施記録

◆企画・人材カイハツ

 

▶ パショナリーアパショナーリア(代表:町田マリー)企画

企画名:「子連れOK!新しい表現を探す旅」  

開催日: 2025年7月7日(月)、8日(火)、10日(木)〜12日(土)
会 場:アトリエ

参加者:町田マリー(企画・劇作・演出・俳優)、高野ゆらこ(企画・俳優)、俳優・音楽家ほか8名

概要・成果:

「家庭と演劇の両立」をテーマに掲げ「子どもも楽しめる大人のための演劇」の創作を続ける企画者が、主に子育て中の俳優と共に、0歳から高齢の観客までが楽しめる作品を前提に試行錯誤し、最終日にはショーイングを行いました。
 ワークの目的は大きく分けて2つあり、一つは、介護をモチーフに、深刻ともいえるとある状況においてユーモアをもって表現することはできるのか、そしてもう一つは、子ども役を演じる方法や形を探りました。その過程では、実際の介護ツールを用いてコミュニケーションの方法を体験し、そこで動いた感情から物語が発展するなど、参加者たちによる自由な発想や発言の交換により、さらに創造的な空間になっていました。また、本企画は「子連れOK!」の環境になっており、乳幼児をもつ参加者が抱っこをしたまま演じたり、お子さんも一緒にワークに参加するなど、参加者やスタッフがサポートし合い、参加者からは「子育てと演劇創作活動の両立に難しさや心苦しさを感じていたが、未来の創作の場のあり方に可能性を感じた」との感想が上がりました。
 観客対象を「子ども」や「子どもと大人」とする作品への試みは見られる中、企画者の視点の可能性に気づくと共に、子育て中のアーティストと創作をすることや、それを可能にする環境作りについて考察する良い機会となりました。
 この取り組みは取材対象ともなり、実施中にライターが見学、町田マリー、高野ゆらこへのインタビューも行われ、こえのわ(子育て×舞台芸術)https://koenowa.com/で取り上げられました。
 

 

 

▶ 万里紗・關智子・西本由香企画

企画名:「上演そのものを問題化する戯曲を起点に、創作と権力の関係を再考する」 
実施日:2025年8月25日(月)〜27日(水)、29日(金)、30日(土)
会場:アトリエ
参加者:万里紗(企画・俳優・翻訳)、關智子(企画・翻訳)、西本由香(企画・演出)、俳優・演出・民間のプロデューサー・横浜櫻座ほか15名
概要・成果:
 英国の女性劇作家による作品が提起する「社会的な関係と資本主義の構造の中で演劇を上演すること」にまつわる問題を、当事者として、日本の演劇界の問題としてどう引き受け、面白がり、それを消費したり、されたりしない状況下で劇場空間に“立ち上げる”ことができるのかを探りました。参加者には、登場人物と同じ立場の人(俳優、劇作家、演出家)を募り、実体験から戯曲が提示する演劇創作における社会構造の分析を試みると同時に、時間の多くを割いたディスカッションでは、戯曲そのものだけでなく、戯曲から想起される、参加者たちの演劇にまつわる暮らしの中にある権力について、ぞれぞれが経験を共有し、理解と検証を行いました。最終日には、障がいの有無に関わらず表現をすることで輝くことを目的とした演劇集団・横浜櫻座とクリエイションを共にし、リーディングの会を実施。民間で活躍するプロデューサーにも参加していただき、演劇が上演という形をとる限り生じうる関係性や権力、可能性についてなど、立場や役割、性、特性の違いによる多岐に渡る視点から様々な感想やアイデアが共有されました。
 一本の戯曲を起点とし、演劇という表現と創造の場の、これまでのあり方とこれからの可能性を掘り下げる5日間となりました。
 

 

 

▶ 加藤綾子企画

企画名:「振付として見る、西洋芸術音楽のプレイヤーたち」 
実施日:2025年8月23日(土)、9月1日(月)、2日(火)、4日(木)、6日(土)
会場:アトリエ
参加者:加藤綾子(企画・ヴァイオリン)、振付家・音楽家・ダンサーほか6名
概要・成果:
 クラシック音楽におけるヴァイオリニストの身体において、楽器の特性や演奏、期待される「らしさ」から生じる身体性や動きの特徴があるのではないか、という問いから発生した企画。そうした身体や振る舞いを、振付や表現として見出す時間となりました。参加者に、振付家、ダンサー、サックス奏者、ヴァイオリニストを迎え、それぞれの分野の視点や特性と比較しながら企画者の問いに向き合い、言語化をし、「動き+演奏」へと再構築を繰り返すことで、新たな発見が尽きない5日間でした。ときに床に寝転がったり、飛び跳ねたり、ひたすらにストローを吹き続けたりと、一般的に思い描くクラシック・ヴァイオリニストの姿とは異なる光景でしたが、自然発生的に生じる動きや呼吸、声を生かすという発想だけでなく、それらに制限をかけることで、「楽器と演奏者」という根本的で原始的な関係性を再発見する場面もありました。また、特性の異なるアーティストが集い、創造的な交流をすることで、企画者だけに留まらず、各参加者が各自の分野に対する気づきを深めている様子が印象的でした。
 最終日にはショーイングを行いましたが、初日には思いもしなかったような表現となり、演奏者の身体性は聴く人の経験も変えることが出来ると証明しているようでした。
 この試みと発見を通して、企画者・加藤綾子の活動はさらなる飛躍を遂げています。
 

 

 


◆戯曲カイハツ

 

このカイハツ事業は基本的に長塚圭史芸術監督とKAAT内スタッフの参加で行っています。取り上げる作品によっては、翻訳者、研究者、俳優の方々を招いています。一年を通して隔月で実施しています。
今年度は、「分断と共生」、「労働者」、「格差社会」、「二極化」などいくつかのキーワードを元に発掘したイタリア、アメリカ、ドイツ、日本の戯曲を取り上げました。内訳は海外戯曲4本、日本の戯曲2本でした。
 

 

 

◆創作プロセスカイハツ

 

▶兼島拓也新作戯曲の創作カイハツ

2026年度に実施する公演の創作のためのリサーチとディベロップメントを行いました。
舞台となる神奈川県の工業地帯を兼島が幾度か沖縄から訪れてリサーチ、演出を担当する田中麻衣子も共にリサーチを行い、戯曲創作のためのディスカッションを1年を通して実施しました。
また、ドラフトの段階で、俳優たちとの読み合わせ、劇作家、演出家と美術家を中心としてスタッフとのディスカッションを行いました。

 


 

 

 

企画・人材カイハツトピックス

2026年度に向けて企画を公募し、70件近いご応募をいただきました。

その中から3企画が実施決定いたしました。 >> 決定した企画はこちら

 

 

「カイハツ」のこれから

令和3年(21年度)から、KAATが新たに取り組んでいる「カイハツ」は、劇場が、上演の場そして上演する作品を創作する場のみならず、アーティストが常に考える場、豊かな発想を生み出す場となることを目指しています。この営みは、公共劇場の新たな価値や役割を探る、まさに劇場の未来を背負う取組みです。今後も、継続的に取り組んでいきます。

 

 

 

 

▶︎2023年度・2024年度活動報告

▶︎2022年度活動報告

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