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主催事業情報 2023/6/10 「カイハツ」プロジェクト 2022年度活動報告

カイハツロゴ画像

 

カイハツ(ロゴ画像)」とは?

KAATが長塚芸術監督のもと、2021年度より取り組んでいる、新たなプロジェクトです。      
劇場が常に考える場、豊かな発想を生み出す場となることを目指し、クリエーションのアイディアをカイハツしていきます。新たな表現の実験、ジャンルを横断したアーティストの交流、様々な情報の収集など、以下のようなカイハツ活動を軸にして、劇場の創造活動の核を育てていくことを目指します。

◆企画・人材カイハツ

アーティストがその構想を試み、新たな出会いをもつ場として、上演を最終目的としない自由かつ実験的なクリエーション活動を行うことができる機会と空間を設けます。アーティストにとってはアイディアの種を試し育てる機会となり、劇場にとっては、新しい才能と出会うきっかけとなります。

◆戯曲カイハツ

国内外の戯曲発掘および情報収集、海外戯曲の翻訳等を行い、時にリーディング試演を交えながら、作品への理解・戯曲へのリテラシーを深め、豊かな発想の土壌を育んでいきます。

◆創作プロセスカイハツ

じっくり時間をかけて作品をクリエーションしていく新しい創造形態を模索します。戯曲・楽曲製作、ワークショップ、トライアウト公演などを実施。稽古場と上演会場を持つ劇場の強みを生かし、数年間かけて作品を熟成させる創作過程を充実させ、豊かな成果を生み出します。

 

2022年度 実施記録

◆企画・人材カイハツ

 

▶ 演出家・桐山知也企画企画・人材カイハツ「演出家・桐山知也企画」画像企画・人材カイハツ「演出家・桐山知也企画」画像

【テーマ】海外の児童文学小説を用いた、子どもとかつて子どもだった大人のための劇場作品創作の可能性を探る。 
 

【開催日】2022年11月26日(土)-30日(水)

【会 場】アトリエ

【参加者】桐山知也(企画者・演出)

高田惠篤、土井ケイト、古谷陸、瑞木健太郎(以上、俳優)

鈴木光介、鈴木あかね(以上、音楽)

【概要・成果】

桐山知也の「“啓蒙するためではない”子どものための作品」を念頭に、戯曲ではない海外の児童文学作品から、舞台作品を創るための様々な表現の可能性を探っていき、最終日にはショーイングを行いました。      
各自の幼少期の話を参加者全員で共有することから始まり、作品選別、語りチーム、ムーブメントチーム、音楽チームとに分かれ作品に向き合い、合わせては互いにアイデアを出し合い、ブラッシュアップを重ねました。      
参加者全員が自由に意見やアイデアを持ち出す空間は、固定概念に縛られず、表現の可能性の幅を大きく広げていました。

 

◆戯曲カイハツ

 

▶オンライン・リーディング      
アメリカの劇作家の戯曲

【翻 訳】永田景子 

【開催日】2022年6月19日(日)

【会 場】オンライン

 

【成 果】

9人の俳優と作曲に1人(録音)を迎え、オンラインで行われました。馴染みがあるとは言い難いアフリカの国を舞台とした作品でしたが、俳優の声を介すことで戯曲が立ち上がり、理解を深めることができました。また、リーディング後に行われた参加者とのディスカッションでは、こうした作品に出会うことは、世界で起こっていることを知り、見つめる良い機会になるという意見も出ました。

 

 

▶人類館オンライン・リーディング

【 作 】知念正真 

【開催日】2022年6月25日(土) 

【会 場】オンライン

 

【戯曲概要】

1903年大阪万博で起こった学術「人類館」事件をモチーフに、人類館でまき起こる、 もしくはまき返される回想シーンの恣意的、無差別的濫乱と、「人類館」という名の精神病院の中で展開する医者と患者のリハビリテーションとしての芝居ごっこの二構造で、沖縄近代史が描かれている。

 

【成 果】

沖縄在住の3人の俳優を迎えオンラインで行われました。「標準語」「うちなーぐち(沖縄の方言)」「沖縄大和口」が俳優の体と声を通して発せられることで、この作品が描く差別・偏見、琉球・沖縄・日本の歴史や人間をより立体的にイメージすることができました。実施後のフィードバックには「ここで描かれているものは、現代日本においても地続きである」「一般の方にも聞いてもらいたい」というものもあり、戯曲がもつ発信力や可能性に改めて気付かされる回となりました。


◆創作プロセスカイハツ

 

▶劇団ヴァニシング・ポイントワークショップ創作プロセスカイハツ「劇団ヴァニシング・ポイントワークショップ」画像

創作プロセスカイハツ「劇団ヴァニシング・ポイントワークショップ」画像

【テーマ】KAAT神奈川芸術劇場と現代のイギリス演劇を代表する劇団ヴァニシング・ポイントが、将来的な国際共同制作を視野に入れて、その創作の可能性を探るワークショップ。

 

【開催日】2022年5月17日(火)- 28日(金)3俳優3名、ダンサー3名

【会 場】中スタジオ

【参加者】マシュー・レントン(演出家)

サンディー・グリアソン(俳優兼演出補助)、マーク・メルビル(音響)

ワークショップ参加者:俳優5名

【概要・成果】

英国人演出家が日本人俳優とともに作品のテーマを選ぶ前段階から、現代日本文学作品の物語が秘める可能性や方向性について研究するワークショップ。      
日英テキストの読み合わせを行うとともに即興の要素を取り入れた演技によるシーンの立ち上げやテキストを軸に二国間の文化的な相違を発見していく作業や作品に登場するキャラクターやシーンの表現方法の探求は、参加した日本人俳優にとって初めての経験となった。今後の創作に向けての方向性が明確になり、双方にとって実りあるワークショップとなりました。なお、次回は英国グラスゴーにてワークショップを行う予定。

 

▶伊藤郁女×長塚圭史による、今後の新作公演(2025年)に向けたワークショップ創作プロセスカイハツ「伊藤郁女×長塚圭史による、今後の新作公演(2025年)に向けたワークショップ」画像

創作プロセスカイハツ「伊藤郁女×長塚圭史による、今後の新作公演(2025年)に向けたワークショップ」画像


【テーマ】フランスを拠点に活動する振付家・ダンサーの伊藤郁女と長塚圭史による今後の新作公演に向けたワークショップ


【開 催 日】2022年12月6日(火)-8日(木) *9日は伊藤と長塚のみで実施      
【会   場】アトリエ      
【参 加 者】伊藤郁女(振付家、ダンサー)

長塚圭史(演出家、劇作家、俳優)

【ラボ参加者】俳優3名、ダンサー3名

【概要・成果】

昨年より始めた構想を受けて、今回のラボではオノマトペや詩を題材に、演劇やダンスといった身体表現の新たな可能性を俳優とダンサーと共に探っていきました。今回、演出家・振付家が向き合っている新たな表現の課題について、参加者と共に実験を繰り返すことができ、本番に向けた稽古ではなかなか実施できないトライアンドエラーが実現できた。今後の創作へ向けての豊かな時間となりました。

 

◆カイハツ・ワークショップ

 

▶ジャック・ルコック国際演劇学校「LEM(レム)―空間と身体の研究室」

【講 師】望月康代、パスカル・ルコック(フランスよりオンライン)【アシスタント】石川朝日

【開催日】2022年8月9日(火)-11日(木・祝)

【会 場】アトリエ

【概要・成果】

俳優、舞台美術家、演出家、絵本作家を含む16名が参加し、共に空間と身体の関係性を考える時間となりました。ワークショップは、身体を動かす「ムーブメント」と、デッサンや造形を行う「アトリエ」というふたつの時間で構成され、参加者は全員、身体を動かすこととデッサンや造形の両方を行いました。各回の後半では、ルコック氏によるアドバイスやフィードバックが行われ、参加者は、身体的気づきを元に作成した3Dオブジェの空間とのつながりや、そのオブジェと身体、空間を合わせた演技に対する考察を深め、動きとは何か、創作とは何かを発見していました。

 

「カイハツ」のこれから

令和3年(21年度)から、KAATが新たに取り組んでいる「カイハツ」は、劇場が、上演の場そして上演する作品を創作する場のみならず、アーティストが常に考える場、豊かな発想を生み出す場となることを目指しています。この営みは、公共劇場の新たな価値や役割を探る、まさに劇場の未来を背負う取組みです。令和5年度以降も、継続的に取り組んでいきます。

 

>>2021年度活動報告

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