ニュース

主催事業情報 2021/8/27 芸術監督・長塚圭史より 2021シーズン開幕宣言

いよいよメインシーズンがスタートします。2021年度より毎年テーマに沿った作品群をズラリと揃え、お楽しみいただこうというのであります。初めてのメインシーズンはその名も「冒(ぼう)」。飛び出す。はみ出す。突き進む。

シーズン冒頭は『湊横濱荒狗挽歌〜新粧、三人吉三。』(みなとよこはまあらぶるいぬのさけび~しんそう、さんにんきちさ。)。三人の盗賊(アウトロー)を描いた黙阿弥の傑作歌舞伎『三人吉三』が、現代の横浜を舞台に、親子二代に渡る仁義ドラマに生まれ変わりました。続く『近松心中物語』は江戸元禄大坂の遊郭に咲いた二組のカップルの悲しくも可笑しい純愛が燃え上がります。350年の時を超えて元禄の庶民の言葉が鋭く響きます。毎年気鋭の現代美術家を招いて話題のKAAT EXHIBITIONは『志村信裕展|游動(ゆうどう)』。見たことがないのになぜか懐かしい映像世界が胸に迫ります。

秋はダンス公演も目白押し。日本が誇る50代ダンサーが跳躍する『エリア50代』。世界で活躍する才能の共演『Noism Company Niigata × 小林十市 A JOURNEY~記憶の中の記憶へ』。そしてブレヒトの問題作『アルトゥロ・ウイの興隆』が帰ってきます。ソウルミュージックに乗せて、シカゴのギャングスターが成り上がる様を、皮肉たっぷりファンキーに恐ろしく描きます。

そして、冬。今年から横浜国際舞台芸術会議へと生まれ変わったその名も『YPAM2021-横浜国際舞台芸術ミーティング』。世界最先端の演劇が多様な形で交差します。続いてフランスのアミアンで発表された三島由紀夫の『Le Tambour de soie 綾の鼓』が来日。日仏混合の新しい三島アングルです。

年が明けますとピューリッツァー賞受賞作品『ラビット・ホール』。息子を事故で失った母親と、新しい命を宿したその妹、そして二人を取り巻く家族の再生の物語。日常の中にも冒険はたくさん詰まっています。シーズン最後は天竺を目指して旅をしていたはずの三蔵法師と孫悟空の一行が時空を超えて神奈川県内に迷い込み、大騒動を引き起こす『冒険者たち〜JOURNEY TO THE WEST〜』。KAAT神奈川芸術劇場を皮切りに、県内七箇所を巡演する大冒険。

劇場は厳しい感染症対策の下に活動を続けています。日本の劇場は昨年の春以降、試行錯誤を繰り返し、安全に観劇して頂く方法をお客様と共に見いだせるよう尽力して参りました。状況に応じて対処しながらも、これまで劇場関係者と観客のみなさまと共に育て上げてきた対応策を道しるべに最善を尽くして、演劇という文化を持続していきたいと願っています。

さあ、始まります。合言葉は。シーズン、開幕です。

 

KAAT神奈川芸術劇場芸術監督 長塚圭史

2021年8月27日