KAAT EXHIBITION 2025

大小島真木展|あなたの胞衣はどこに埋まっていますか?

「祈り」――それは、“私たちの死”をあらかじめ荘厳すること、
そこに小さな明かりをいっせいに灯すこと――
美術作家 大小島真木による新作インスタレーション

  • 日時 2025/9/21(日)~2025/10/19(日) 11:00 開演
  • 会場 中スタジオ・アトリウム
  • 料金 一般:1,000円 / 神奈川県民割引(在住・在勤):900円 / 学生・65歳以上:500円 / 高校生以下:無料 ※コンセプトブック付
  • お問い
    合わせ
    KAAT神奈川芸術劇場  045-633-6500(10:00~18:00)

公演情報

喰らい喰らわれ、与え与えられ、愛し愛され、殺め殺められる。

生まれ、育ち、老い、死に、そして再生する――、胞衣は命のすべての時間を包みこむ。

終わりはやがて訪れる。その彼方への予感を抱きながら、それでもなお繋がってゆく命へと捧げる、“祈り”の空間。

 

KAAT神奈川芸術劇場の劇場空間と現代美術の融合による新しい表現を展開するKAAT独自の企画シリーズ「KAAT EXHIBITION」。10回目は、“いびつに絡まりあう生命”をテーマに作品を制作している大小島真木による劇場初の個展です。
母体の胎児を包んでいる羊膜と胎盤は、日本語の古語において「胞衣(えな)」と呼ばれていました。胞衣はまた、再生のシンボルとして、そして生死を超えて私たちを包みこむこの世界そのもののメタファーとして、世界各地で信仰されてきました。本展のタイトルである「あなたの胞衣はどこに埋まっていますか?」は、メキシコの先住民セリ族が出身地を尋ねるときに用いる慣用句。胞衣とは、私たちがかつていた場所、そしてまた、やがて還りゆく場所でもあります。
本展では会場全体を巨大な胞衣に見立て、その内奥に「祈り」の場を立ち上げています。「祈り」――それは、“私たちの死”をあらかじめ荘厳すること、そこに小さな明かりをいっせいに灯すこと―― 大小島はそう考えています。

 《 胞衣 | Ena 》大
 《 胞衣 | Ena 》
©2022 Maki Ohkojima Courtesy of  Sezon Museum of Modern Art,  Photo by Ken Kato
《 L’œil de la baleine | 鯨の目 》
《 千鹿頭 | Chikato 》
Film 37min
 @2023 Maki Ohkojima
《 綻びの螺旋 | Perforated Spiral 》
《  綻びの螺旋 | Perforated Spiral 》
Installation
 @Maki Ohkojima

特設サイト

https://kaat-seasons.com/exhibition2025/

キャスト・スタッフ

【作家】大小島真木

【音楽】カーティス・タム

 

プロフィール

大小島真木

大小島真木プロフィール写真
©︎Aki Kawakami

東京を拠点に活動する大小島真木、辻陽介からなるアートユニット。
「絡まり、もつれ、ほころびながら、いびつに循環していく生命」をテーマに制作活動を行う。
インド、ポーランド、中国、メキシコ、フランスなどで滞在制作。2017年にはTara Ocean 財団が率いる科学探査船タラ号太平洋プロジェクトに参加。 近年は美術館、ギャラリーなどにおける展示の他、舞台美術なども手掛ける。  2021年KAATキッズ・プログラム『ククノチ テクテク マナツノ ボウケン』(2021・2022年KAAT神奈川芸術劇場)などで舞台美術を手がける。主な参加展覧会に、「千鹿頭 A thousand Dear Head」、(2023年、調布市文化会館 たづくり 、東京)「コレスポンダンス」(2022年、千葉市美術館 | つくりかけラボ09 )、「地つづきの輪郭」(2022年、セゾン現代美術館)、「世界の終わりと環境世界」(2022年、GYRE)、「コロナ禍とアマビエ 」(2022年、角川武蔵野ミュージアム)、「Re construction 再構築」(2020年、練馬区立美術館)、「いのち耕す場所」(2019年、青森県立美術館)、「瀬戸内国際芸術祭-粟島」(2019年)、個展「L’oeil de la Baleine/ 鯨の目」(2019年、フランス・パリ水族館)、個展「鳥よ、僕の骨で大地の歌を鳴らして」(2015年、第一生命ギャラリー)。主な出版物として「鯨の目(museum shop T)」など。  2023年より、かねてより制作に関わっていた編集者・辻陽介との本格的な協働制作体制に入り、以降、名称をそのままに、アートユニットとして活動している。

https://ohkojima.com

 

 

作家コメント

今回の展示で私たちが大きくテーマとしているのは「祈り」です。私たちにとって「祈り」とは、ある一つの世界との関わり方です。生きていくなかで人はさまざま不条理や矛盾に見舞われますが、「祈り」とはそうしたなかで感じる痛みに対し、単にその解決や克服を目指していくのではなく、そうした「痛み」を所与のものとして、その痛みと共に生きていこうとする、一つの姿勢です。 
特に本展では私たちはそうした「祈り」を「出産」という営みに関係づけています。現在、私たちの社会には戦争、差別、あるいは環境問題など、さまざまな問題がなおも存在し、そうした数多くの悲劇を前に人類史そのものが大きな自省を求められています。決して正当化することができない歴史の先端において、しかし、それでもなお私たちは命を縦に、そして横に、繋いでいく。私たちが今回試みたいことは、いかなる状況においても命が生成していくというプロセスそのものを、その先に種の絶滅さえも見据えながら肯定すること、そして、そこへと捧ぐ祈りを表現することです。

 

【STAFF】

宣伝美術:北原和規(UMMM) 
編集:住麻紀(HAHIRE)

スケジュール

【会期】9/21(日)~10/19(日) 11:00~18:00(入場は閉場の30分前まで) 

【休場】火曜日(9月30日、10月7日、10月14日)※9月23日(祝)は開場

チケット

チケット料金

コンセプトブック付きチケット

【チケット取扱い】3階中スタジオ受付(会期中のみ)

一般1,000円
神奈川県民割引(在住・在勤)900円
学生・65歳以上500円
高校生以下無料
障がい者手帳をお持ちの方とその付き添いの方1名無料

※同時開催のKAAT神奈川芸術劇場プロデュース『最後のドン・キホーテ THE LAST REMAKE of Don Quixote』公演チケット提示にて、本展覧会を無料でご鑑賞いただけます。(ご本人様1回限り、会期中いつでも入場可能)

※神奈川県民割引、学生、65歳以上、障がい者手帳をお持ちの方は証明書をご提示ください。

関連企画

パフォーマンス 松岡大「胞衣|Ena」

世界的に活躍する舞踏家の松岡大が大小島真木のインスタレーション空間の中で身体を通して生命への祈りを表現します。

松岡大プロフィール写真
『KAAT EXHIBITION 2017』関連イベントPhoto by Masanobu Nishino

日時:9月27日(土)12:30~12:50/17:00~17:20
会場:KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ> 
出演:松岡 大(山海塾 舞踏手)、佐藤公哉
参加:展覧会チケットで観覧無料・予約不要

 

松岡大 Dai Matsuoka

舞踏家/NPO法人LAND FES代表

松岡大プロフィール写真
Photo by Maiko Miyagawa

2005年より舞踏カンパニー山海塾に舞踏手として参加。「金柑少年」「ARC」などの主要作品に出演中。
「LAND FES」を主宰し、パフォーミングアーツを通じて共生社会を目指す活動に取り組む。2018年より小田原「スクランブル・ダンスプロジェクト」講師。
2021年、Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル 13 「Tokyo Real Underground」のキュレーターを務める。
Phantom Limb Company(NY)やPaola Prestini(NY)などの海外アーティストとのコラボレーションも多数。
https://daimatsuoka.com

 

佐藤公哉 Kimiya Sato

佐藤公哉プロフィール画像
Photo by YUKI IDA

音楽家、作曲家、歌手。北海道生まれ。シュルレアリスムの影響から幼少より画家を志し、後に音楽へ転向。
民謡やホーメイなども取り入れた多彩な声の表現に加え、ヴァイオリン等の弦楽器や各種の打楽器を演奏し、映画、ダンス公演、地域プロジェクトなどでも音楽を手がける。
ネットワーク組織「 Torus Vil. 」として、日本・アジアの郷土芸能の取材を元に音楽を制作する「 MIKUSA PROJECT 」を主催。2024年にパフォーミングアーツ作品「NEO KAGURA」を発表。
東京藝術大学音楽環境創造科に在学中より東京都を拠点に活動し、2017年より長野県松本市を拠点とする。活動ユニットは「KIMIYA SATO MIKUSA BAND」「3日満月」など。
https://torusvil.com/
 

 

アーティストトーク

日時:10月4日(土)16:30~17:30
会場:KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ・アトリウム> 
出演:大小島真木、辻陽介、長塚圭史(KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)
定員:30名(9月10日申込開始・事前予約優先・当日参加も可)
申込方法:9月10日(水)より下記の申込フォームよりお申し込みください。
>>https://krs.bz/kanagawaaf/m?f=2399
参加:無料(展覧会観覧にはチケットが必要です)

 

フィナーレイベント 大小島真木×遠野巡灯篭木
張山しし踊り「雌じし狂い」

異界の地・遠野において、郷土芸能と現代カルチャーを織り交ぜ、音楽、芸能、食、語り部たちの声を媒介として、目に見えぬものへの想像をめぐらせるイベント「遠野巡灯篭木(トオノメグリトロゲ)」。
大小島真木も訪れた遠野巡灯篭木のライブセッションから、張山しし踊り(遠野郷早池峰しし踊り張山保存会)とYosi Horikawa、Daisuke TanabeがKAATへ登場。展覧会のフィナーレを彩ります。

日時:10月19日(日)17:30~18:30
会場:KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ>
出演:張山しし踊り(遠野郷早池峰しし踊り張山保存会)、Yosi Horikawa & Daisuke Tanabe
参加:展覧会チケットで観覧無料・予約不要
※フィナーレイベント中は展示に変更がある場合がございます。

 

張山しし踊り(遠野郷早池峰しし踊り張山保存会)張山しし踊り「雌じし狂い」写真

『遠野物語』の著者・柳田国男が実際に遠野で目にしたと言われ、『遠野物語』序文にも登場する歴史ある団体「張山(はりやま)しし踊り」。
その由来は、江戸時代の延宝年間(1673〜1680)に張山集落の寅という遊芸好きの老人がお伊勢参りの折に習い覚えて帰ってきて、それに自分の工夫を加えて伝えたものであると伝えられている。 遠野で唯一の白幕を使い、ゆっくりと優雅に踊るのが特徴。幕としし頭には早池峯神社の社紋「剣九曜」を掲げる。
見所は、二頭のししが境界を越えて神聖な空間に入り、シンメトリーに踊る「門がかり」。また、一頭の雌を奪い合う「雌じし狂い」も圧巻。
伝統を大切にしながらも、近年は移住者の受け入れやアーティストとのコラボレーションにも積極的に応じている。

 

 


Yosi Horikawa

環境音や日常音などを録音・編集し楽曲を構築するサウンド・クリエイター。
これまでの作品、2012年『Wandering』、2013年『Vapor』、2019年『Spaces』それぞれ、Time Out、The Japan Times、The Guardianなど、多数媒体でのBest Album of the year に選出される。リリースの度にワールドツアーを行い、Glastonbury、Sonar、Mutek、Ozoraをはじめとする多数の世界的大型フェスティバルに出演。また自身の音楽制作過程を追った、ドキュメンタリームービー『Layered Memories』(2016年)が話題となった。 2024年には仏Le Mans, CTTMにあるヨーロッパ最大の無響室にて日本人初のライブ、1759年創設の英Kew Gardensの為に会場音楽を作製するなど、幅広く活動している。
https://yosihorikawa.bandcamp.com/

 

 


Daisuke Tanabe

©Takashi Honma

長らく作り続けていた楽曲をロンドンのオーディエンス参加型イベントCDRで初めて披露したところそれらが評判を呼び、 その流れでリリースした初のEPがBBC Radio1 Worldwide Awardにノミネートされ、 徐々にリスナーの幅を広げる。 時に無数の音を丁寧に敷き詰めたような楽曲は一部の音楽ファンから根強く支持され、 その後も多くの海外ツアーや都市型フェスSónar Barcelonaへの出演、 ミラノサローネやOff-Whiteコラボセレクションへの楽曲提供、 ドキュメンタリー映画の劇伴や映像作品への楽曲提供など、国内外問わず幅広く活動中。
https://soundcloud.com/daisuketanabe

 

 

<ご来場の皆さまへのお願い>

ご来場前に必ず「ご来場のお客様へのお願い」をご確認ください。

 

主催・企画制作:KAAT神奈川芸術劇場

協賛:ACAO FOREST  アクセンチュア芸術部 

協力:株式会社サンエムカラー 一般社団法人 Whole Universe 

  

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