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お知らせ 2022/9/15 特別連載:『ライカムで待っとく』兼島拓也(作)×田中麻衣子(演出) 往復書簡【全5回】

ライカムで待っとくバナー

兼島拓也×田中麻衣子長塚圭史 往復書簡

劇作家の兼島拓也と演出家の田中麻衣子が初タッグを組んでお届けする『ライカムで待っとく』。 
この作品は、2人がディスカッションを幾度も重ね、1年近くの歳月をかけて台本を完成させました。 
濃密な時間を過ごした2人がクリエイションを通じてお互い感じたこと、作品にかける思いなどを手紙形式で綴ります。

 

公演期間:2022年11月27日~12月4日<中スタジオ>

公演詳細>>https://www.kaat.jp/d/raikamu


1.田中→兼島  [9/15 UP] | 2.兼島→田中  [9/22 UP]| 3.田中→兼島 [10/7 公開予定]| 4.兼島→田中  [10/14 公開予定]| 5.長塚芸術監督→兼島・田中 [10/28 公開予定]

 

 

【第1回】田中麻衣子→兼島拓也

兼島さんと初めて会ったのは去年の初夏、zoomの画面越しでしたよね。いつもにこやかで、穏やかな目をして「ご近所さん」のような距離感で話すのが上手な兼島さん。創作が始まり最初に届いたのは、『ライカムで待っとく』の登場人物でもある佐久本さん(1935年生まれ)に、兼島さん本人が2021年の沖縄でインタビューする原稿でした。2人のウチナーグチ(沖縄弁)は軽妙で、すぐに兼島さんの書くものの虜になりました。沖縄本島の中でも南部・中部・北部で、生活と米軍基地との関わりは大きく違うことや、兼島さんが今住んでいる場所のこと。ユタやノロといった、死者と生きている者を繋ぐ存在が今も居続けるのは、、等から始まり、沖縄を中・外・過去・現在、、様々に見てきた気がします。本土復帰して50年。あの時の沖縄の人たちは、そして本土の人たちは、どんな復帰後を想像したのだろうかと思います。戦争を生き延びた祖父母たちの未来にいる私たちが、2022年の冬、この先に希望を見出すためにこの作品をつくっていきたいと思っています。

【兼島さんへの質問】
沖縄を離れるとき、気づくことや感じることはどんな事ですか?

 

【第2回】兼島拓也→田中麻衣子

田中さん、一通目のお手紙どうもありがとうございます。もう何度もお会いしているのにこうして手紙のやりとりをするというのは少し照れくさい部分もありますね。
まさかKAATから執筆の依頼が?!と僕のなかでは困惑からスタートしたこのプロジェクトでしたが、田中さんはじめ皆さんが僕の拙く冗長な話をゆっくりじっくり聴いてくれて、この人たちと一緒にいい作品をつくりたいという気持ちにすぐに変わっていきました。
田中さんに送った「インタビュー」は、キャラクターの人物像や生育環境、当時の時代背景などを探っていくために行っていて、もちろんあくまでも“架空”なんですが、資料を読み込むよりも生の声に近い感覚で、やってくうちにその人物にどんどん実在感が出てきます。
佐久本さんとのインタビューのなかで(外から見たら僕がPCをカタカタしてるだけなんですが)、復帰前の沖縄を生きる彼が、2021年の沖縄に生きている僕に「まだ基地はそのまんまであるわけ?」と問います。その一文を打ち込んだ後、僕の手はしばらく止まってしまいました。
いま僕は彼が知らない50年後の世界を見ていて、でもその景色はあの頃と変わっていないのではないか。この問いにどう応えたらいいのだろうか。そう感じたあの瞬間にこの作品の根幹が出来上がったのだと、いま振り返ると思えます。
この戯曲が、田中さんの演出でどのように立体化されていくのか、その過程を近くで見られるのが本当に楽しみです。作者というより一観客に近いかもしれません。すみません、無責任なこと言って。次のお手紙も楽しみにしています。

【質問への返答】
飛行機に乗って上空から沖縄を眺めると「あぁ、こんなに小さいんだなぁ」といつも感じます。こんなに小さな島にいろんな物や事が詰め込まれていて、そりゃあ複雑で面倒だなあと。たとえば県外からの旅行客が、同じ機内から同じように島を見下ろしたとしても、たぶん目が行くのは島周辺の海の青さだったりするんだろうなぁと思うと、僕の視線自体がすでに曇ってるんだなぁとも思います(すみません、悲観的に書きすぎました)。
あとは、東京や横浜などに来ると特になのですが、歩行者の数に圧倒されます。沖縄に住んでいると、車社会だし全然歩かないので。人ってこんなにいっぱいいるんだ、と変なところで感心してしまいます。

【田中さんへの質問】
田中さんは沖縄にルーツを持っていらっしゃるとお聞きしましたが、ご家族や周りの方から、沖縄のこと(生活や歴史など)について教えられたり、その文化に触れたりなどということはありましたか? また、そのようなときには、どういったことを感じられましたか?(興味深いとか、どうでもいいとか、またか…とか)

 

【第3回】兼島拓也→田中麻衣子 10月7日公開予定