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お知らせ 2020/4/3 芸術監督 白井晃より メッセージ(4/3発信)

本当に怖いのは、人々の心が煽られて、不安や恐れが増幅していくことです。

私は、劇場がその不安を煽る場所になって欲しくない。不安を煽る道具にされたくない。その想いでいっぱいです。

「三密」という言葉が生まれました。密閉、密着、密接。劇場は、この三つを併せ持っているという印象があると思います。しかし、本当は、換気機能に関しては強力です。舞台演出で、大量のスモークを使います。ですから、それを即座に排出する能力を持っています。そして、基本的に、観客の皆さんは、舞台に向かって前向きに座ります。だから、お互い顔を見合わせることもありません。そして、上演中大概の観客の皆さんは静かに観劇されています。

加えて、除菌の空気清浄機や、ドアの解放をすれば、本当に安全な場所なのです。人が生きていくために、水道や電気や食料や病院が必要であるように、劇場は精神を保つためにも必要なインフラのひとつだと思うのです。

このことを主張したいですが、今、私たちの煽られた不安は膨らんで、大きな波となって、この状況を超えて飲み込んでしまいそうです。

だとしたら、次に向かっての体力を蓄え、チャンスが来たらすぐに飛び出せるようにしたい、そう思います。

                              2020年4月3日

                       KAAT神奈川芸術劇場 芸術監督

                                    白井 晃