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第20回神奈川国際芸術フェスティバル記者会見 共同制作「ワルキューレ」制作発表

2013-06-22

第20回神奈川国際芸術フェスティバル 記者会見

共同制作「ワルキューレ」 制作発表

 

6月19日(水)、東京都内において、神奈川国際芸術フェスティバルの記者会見および、神奈川県民ホールで行われる『ワルキューレ』公演の制作発表が行われた。会見に出席したのは新聞記者や音楽関係のジャーナリストなど、約50名。音楽やアートが活発になる秋、横浜で開催される多彩な参加公演について詳細な情報がオープンになり、出演者を中心とした登壇者への注目が集まった。

 

・神奈川国際芸術フェスティバル記者会見

フェスティバル記者会見に登壇したのは3名。公益財団法人神奈川芸術文化財団で芸術総監督を務める作曲家の一柳慧、東京バレエ団『ジゼル』で主役を踊る上野水香、そして『音楽堂で聴く雅楽』に出演する作曲家・箜篌(くご)演奏の佐々木冬彦。

 

最初に一柳がフェスティバルのテーマである『音楽―その先へ』を発表し、そのラインナップを紹介。新演出で注目を集めている『ワルキューレ』に対する期待や、自らがテーマ作曲家として招聘されたフィンランドの音楽祭と、その中心となっている室内アンサンブル「Avanti!」について魅力を語り、そうした創造的な精神が今回のフェスティバルやこれからの芸術を発展させていくとアピールした。

 

東京バレエ団のプリンシパル・ダンサーであり、2007年からはかながわ観光親善大使も務めている上野水香は「2004年に『くるみ割り人形』を踊って以来、ほぼ10年ぶりに神奈川県民ホール公演で主役を踊る」と、感慨深く語った。19世紀中盤に発表されたロマンティック・バレエの傑作『ジゼル』を踊るにあたり、第1幕と第2幕で違ったキャラクターを踊り分けることの楽しさや愛情表現への意欲、コール・ド・バレエ(群舞)の美しさなどについて言及。また彼女は、フェスティバルのクロージング公演となる『ファンタスティック・ガラコンサート2013 煌めきのオペラ&バレエ〜氷上の舞・宴』にも出演し「2014年の冬季オリンピックで話題を巻き起こすであろうフィギュアスケートの先取りとして、浅田真央選手の演目を自分なりに表現し、ステージで披露したい」と語った。

 

神奈川県立音楽堂で行われる雅楽公演については、KAAT神奈川芸術劇場のオープン(2011年)を契機に作曲した自作「華の宴」を再演する佐々木冬彦が、公演の魅力と自作に関するこだわりをアピール。一柳芸術総監督も交え、平安時代以降に洗練されて現代に伝えられる雅楽の魅力をもう一度見直し、「日本に伝来したとされる奈良時代以前の響きを模索しながら、雅楽の原点回帰を図りたい」と語った。初演と同じく華道家の假屋崎省吾による美しい花もあり、さらに今回は作曲当初に想定していたという舞が加わり、いっそう華やかな舞台になるとのこと。箜篌(古代のハープ、復元楽器)も演奏して、記者会見場を時間が止まったかのような典雅な空間に変えた。

 

KAAT神奈川芸術劇場では、渋さ知らズ大オーケストラによって、2日間の公演が開催されることも合わせて発表となった。この公演のために準備される舞台美術を、今回は公募コンペで制作するという斬新な試みも、大きな話題になりそうだ。

 

・共同制作「ワルキューレ」 制作発表

続けて、フェスティバルの目玉公演となるワーグナー作曲『ワルキューレ』の制作発表が行われ、指揮者の沼尻竜典やブリュンヒルデを歌う横山恵子(ソプラノ)、ジークムントを歌う望月哲也(テノール)、共同制作者であるびわ湖ホールと東京二期会の代表者が登壇。

 

沼尻は、生誕200年を迎えているワーグナーの作品が世界中で上演される中、「今回の共同制作による公演は、日本のオペラ・シーンにおいて画期的であり、歌手や音楽家の力を存分に発揮できる最高級のものになるだろう」と明言。これまでの神奈川県民ホール・びわ湖ホール等による共同制作公演はもちろん、「7作目となる今回の『ワルキューレ』が、今後の舞台芸術の良き方向性を指し示すほど重要な公演になる」とも述べた。また横山、望月の両歌手は「世界的な歌手を迎えた今回の公演が楽しみであり、自らのキャリアにおいても大きな意味を持つものとなるだろう」と語った。

 

制作発表の場に出席できなかった演出家のジョエル・ローウェルスは、ビデオ・メッセージにより作品の魅力をアピール。「ワーグナーの作品は音楽がすべてを語り尽くしているが、その上で物語の素晴らしさを聴衆へ伝えることが大事。好奇心を刺激してくれるワーグナーの大作をオープンな気持ちで見に来て欲しい」と語った。そうしたローウェルスについて沼尻は「以心伝心」という言葉で、その素晴らしいコミュニケーション力と才能を高く評価。「『ニーベルングの指環』4部作の中でもっとも人気が高い『ワルキューレ』を、一人でも多くの方に観ていただきたい」と結んだ。

 

神奈川国際芸術フェスティバルのラインナップ

(特設サイトは随時更新予定)

http://www.kanagawa-arts.or.jp/20kiaf/

 

共同制作『ワルキューレ』

http://www.kanagawa-kenminhall.com/walkure/

 

取材・文 オヤマダアツシ

撮影 ヒダキトモコ